包茎手術の歴史
包茎手術の歴史はかなり古く紀元前にまでさかのぼると言われています。
現代でも10年単位で包茎に関する考え方が逆転してしまう場合もありますし、文化や地域によって包茎に対する価値観は大きく異なります。
【包茎手術の発祥】
ユダヤ教やキリスト教、イスラム教などでは宗教上の理由での包茎手術(割礼といいます)が行われています。これは、旧約聖書に割礼の記述があったことに由来します。
ですが旧約聖書ができる以前(紀元前450年以前)から世界中で割礼は行われていました。エジプトの遺跡などから割礼の痕跡が見つかっているという報告もあります。
性器というのは、古代から特殊な信仰の対象となっていました。今でも神社のシンボルとして使われている場合もありますね。特殊な存在である性器に対して、手を加えるという文化は世界の各地で自然と生じてきたと考えられるのです。実際、アメリカ大陸やアフリカ大陸などの原住民は、キリスト教などの考え方とは関係なく割礼を伝統的に行っています。
包茎手術の発祥は、はっきりとはしないのです。人間が「信仰」を持ったときには割礼が始まっていた可能性があるのです。
宗教・土着の文化に基づく包茎手術は今でも世界各地で行われています。
【近代の包茎手術】
近代包茎手術を発展させたのは、なんといってもアメリカでしょう。
アメリカでは、自慰行為が身体に悪いという俗説が信じられていました。これを防止するために包茎手術が広まっていったのです。何の根拠もない誤った考えではあるものの、医学的な見地からの包茎矯正のはしりだったと言えるでしょう。
第二次世界大戦後、包茎は性病やガンの原因になると指摘されました。アメリカでは、これを機に一層包茎治療が広まっていきます。幼児期から手術を受けさせるようになったのもこの頃です。
ところが、1970年代。包皮(亀頭を包んでいる皮)の有用性が指摘されはじめました。包皮はより良い性生活を過ごすために不可欠だと考えられるようになったのです。また、新生児に対して手術を行うのは人道的ではないという考え方も徐々に広まっていきました。現在では、米国で包茎手術を受ける人の数は減少傾向にあります。
このようにアメリカは、包茎手術に対する医学的な考え方を常にリードしてきました。日本では未だ戦後すぐのアメリカの価値観が大きな影響を与えています。包茎のメリットはほとんど周知されていません。